やくざいしめんきょもってるだけ

26歳から薬局長を勤めたいち勤め人の思うこと

世間を賑わせた薬歴未記載問題。多くの薬剤師を救った内部告発。

 

薬歴未記載問題というのを聞いたこたがあるでしょうか?

薬局はこの問題で、調剤報酬の不正請求だと叩かれました。

 

一方で、この問題が明るみに出てくれたおかげで救われた薬剤師が

たくさんいたことを伝えたいと思います。

 

 

 

薬歴未記載の問題が発覚し、初めて残業代が貰えた。

 

薬の福太郎で起きた薬歴未記載がニュースで取り上げられました。

このおかげで会社から

 

「薬歴は何が何でもその日のうちに終わらせろ!残業代は出す!」

 

こんなことを言われました。

この知らせは革命的な知らせです。

 

これまで、薬歴の記載のために会社に残るのは

残業ではないという風潮が社内には蔓延していたからです。

 

薬歴を業務内に終わらすことができないのは、

能力の無さによるものだというのです。

 

溜まった薬歴はすべて薬局長の責任になり、

全体会議で晒し者にされることになります。

 

 

 

悲惨な薬歴の実情

 

今まで残業代を出してくれなかった会社が

一転、残業代支給の方向になったのは

未記載の薬歴が大量に残っていたからです。

 

その数は地区内で数千件に達していました。

 

未記載の薬歴は溜めては処理をし、溜めては処理をし、

の繰り返しで当日中に終わらせることは

店によってはできないような勤務状況でした。

 

 

 

未記載薬歴の処理方法

 

チェーン薬局であったため、

月〜土曜日まで通常営業したあと、

日曜日は他の店舗に行って未記入の薬歴を処理することが

常態化していました。

 

これは「薬歴応援」と呼ばれ

1件につき2分で処理をし、

1人200件をノルマに駆り出されます。

 

1日8時間勤務で、480分ですね。

2分×200件=400分

 

数字上は楽にこなせそうですが、

8時間PCに向かい、入力し続けるのはなかなかなキツかったです。

 

 

 

薬歴の中身

 

上記、未記載薬歴の処理方法でお気付きかもしれませんが、

「薬歴応援」で記載された薬歴はすべて捏造です。

 

患者に薬を渡した薬剤師じゃない人間が、

薬歴を作成しています。

 

会社にとって、

薬歴に書かれていることが事実であるかどうかは興味はなく、

社外から監査が入った時に、

返金を求められないように記載されているかどうかが問題なのです。

 

 

薬歴に対する考え

 

こんなことばかりしていると、

 

「薬歴は患者のためだ」

「薬歴はかかりつけ薬剤師の責務だ」

 

などと言うのは上っ面でしかないと考えます。

 

実際は、

 

「薬局が利益を得るための事務手続き」

 

でしかありません。

 

記載要件さえ満たしさえしていれば、報酬を得ることができます。

 

たとえその記載内容が捏造であってもです。

実際に患者に何を喋ったかなんてチェックする術はありません。

 

 

 

やっと重い腰をあげた会社 

 

この薬歴未記載問題のおかげで、

やっと会社は動かざるをえなくなりました。

 

  • 新規出店の見送り
  • 現存店舗の休廃業
  • 人員配置の見直し
  • 残業代の支払い

 

どれもこれも最初に内部告発してくれた方のおかげです。

 

当時、この薬歴未記載問題は業界がバッシングを受ける一方で、

会社の言う通りにしか動けなかった自分には本当に感謝しかありませんでした。

 

 

会社に所属する現場の人間がいくら声をあげようとも会社は動きませんが、

外部からの世間的な圧力は、会社を動かすには十分な力を発揮します。

こちらでも似たことを話しています。

kimamaniyakuzaisi.hatenablog.com

 

 

最後に

 

薬局業界の未知な部分はまだまだこんなものではないと考えます。

 

患者にとっては薬さえ貰えていれば関係のない話かもしれません。 

自分の薬歴がどう記載されているのか気になれば、

薬局に対して薬歴を見せるよう要求するのも良いかもしれません。

 

 

現場で働く薬剤師は、いま現在どんな会社に身を置いているのか

冷静に考えるべき時だと考えます。

 

 

これから24時間対応、在宅の対応など会社から求められた時に、

ちゃんと環境を整備してくれる会社なのか、

とにかくやって点数だけ稼いで来いと言う会社なのか、

しっかり見極める時期がきているのかもしれません。